[Vol.1] 自分らしい移動体験ってなんだろう?移動体験をデザインするアイデアソン
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まだ世の中にない新しい価値にフォーカスした次世代×NISSANの共創型プロジェクト 「DRIVE MYSELF PROJECT」。2023年8月には「移動体験」をデザインするアイデアソンを開催しました。有形無形を問わない新たな「移動体験」のアイデアを考えることを目的とし、自分らしい挑戦を続けている10〜20代の若者22名と、NISSANで先行技術開発に携わるエンジニアや若手従業員が参加しました。
Vol.1の記事では、アイデアソンで行われたワークの内容と各グループが生み出した移動体験のアイデアを紹介します。
社会的な課題解決の視点を持つアントレプレナー、発想力の豊かなアーティスト・表現者、アイデアを実装するデザイナー・エンジニアなど、個性あふれるメンバーがコラボレーション。常識にとらわれない様々な「移動体験」のアイデアが生み出されました。
(Vol.2の記事ではアイデアソンの中で行われた、ゲストスピーカーである吉藤オリィさん、辻愛沙子さん、中島敏行さんによるインスピレーショントークを紹介。ゲストの経験やテーマに応じたトーク、質疑応答によって参加者の発想力が刺激されていきました。)
INDEX
ワークのプロセス
今回のアイデアソンのプロジェクトメンバーには、次のようなテーマで新たなアイデアを考えてもらっています。
THEME
私達の豊かさを実現する
移動体験とは?
- サービス、空間、プロダクトなど無形有形を問わず、移動の「体験をデザイン」しているもの
- 「良い」、「自分らしい」、「豊か」など
自分らしい価値観を起点に発想されているもの
クルマの美しいデザインや技術向上に視点を絞らず、その先の「体験」に主眼をおいたアイデア創出を目指しています。
アイデアソンの参加者は7つのグループに分かれ、自身の豊かさを共有し合うことでチームメンバーの人となりを共有。自身の豊かさを起点に、移動や社会との掛け算の中で新たな移動体験のアイデアを考えていきます。3名のゲストスピーカーによる「インスピレーショントーク」の内容も参考にして、それぞれのアイデアをグループごとにブラッシュアップしていきました。
最終的には、各グループで一つずつ「移動体験のアイデア」としてプレゼンで発表しています。
(ゲストスピーカーによるインスピレーショントークは、Vol.2の記事で紹介しています。ゲストの経験やテーマに応じたトーク、質疑応答によって参加者の発想力が刺激され、思考が深まっていきました。)
アイデアソンの会場となったのは、新たな移動体験を生み出している『分身ロボットカフェ DAWN ver.β(ドーンバージョンベータ)』。さまざまな理由で外出が困難である人たちが、分身ロボット『OriHime(オリヒメ)』&『OriHime-D(オリヒメ ディー)』を遠隔操作しながらオーダーをとったり、飲み物を運んだりしています。
プロジェクトメンバーは、分身ロボットを遠隔で操作する人「OriHimeパイロット」とOriHimeやOriHime-D越しに積極的にコミュニケーションをとっていました。新たなアイデアを考える上でのヒントにもなっていたようです。
(『分身ロボットカフェ DAWN ver.β』のことは、Vol.2の記事で詳しく紹介しています)
インプットトーク「モビリティ技術と移動体験のミライ」
アイデアソンの前半に行われたインプットトークには、NISSANで次世代のモビリティ開発を手がけてきた中島 敏行さんが登壇。クルマを取り巻く環境の変化や、未来に向けてのモビリティ技術の進化について説明しました。
この数年でクルマを取り巻く環境は劇的に変化し、「100年に一度の変革期」と言われ始めてから既に10年近くが経過しているとのこと。クルマの価値として「移動価値」、「機能価値」、「空間価値」の3つが大きく進化してきたそうです。
「移動価値」
安全かつ快適に移動できる走行性能についての価値。例として、NISSANの先進技術「プロパイロット」に代表される運転支援システムなどが挙げられる。車や歩行者が飛び出してきたときに自動で停止したり、事前に減速したりする判断も可能。電気モーターで揺れも大幅に低減できる。
「機能価値」
音楽、動画、エアコン、電源などの機能的な価値。NISSANの電気自動車の場合、大容量バッテリーからの電力供給が可能。非常時に生活で必要な電力を得ることができる。
「空間価値」
「プライベート空間」としての価値。ワーキングスペースとしての利用など、車内空間を上手く活用することで、「移動」の概念を変える可能性がある。
中島さん:クルマの「空間」を上手く活用することで、自分のしたいことがどこでもできるようになります。仕事が終わったらすぐドアを開けて遊びに行けたり、景色の良い場所で仕事ができたりします。
例えば、軽トラックを改造した「モバイルハウス」は良い例かもしれません。移動可能なプライベート空間として、クルマはまだまだ新しい可能性を秘めているといえます。
皆さんにはモビリティの在り方について、自由に発想していただければと思います。クルマに対する固定観念を一度リセットして、新しい発想で移動体験を考えてください。
グループワーク&
プレゼンテーション
アイデアソンは、A〜Gのグループで進行。各メンバーのアイデアを基に、「移動体験」で作りたい未来を考えながらコンセプトを固めていきました。
各グループのプレゼンは、ゲストの吉藤 オリィさん(株式会社オリィ研究所 所長)、辻 愛沙子さん(株式会社arca 代表取締役・クリエイティブディレター)、中島さんにも見てもらい、感想を伺っています。
ここからは、自分らしさや個性を融合させ、今までにない新たな「移動体験」を生み出していたワークの成果から、4つのグループのコンセプトワーク〜プレゼンの内容を紹介します。
Group.A
「出会い」と「別れ」の
移動体験にフォーカス
メンバー構成
-
れいんぼー
れいんぼーわーるどプロデューサー -
リリ
Photographer -
FUTA
Engineer -
Yuuta
多世代ごちゃまぜコーディネーター
コンセプトワーク
エンジニア、フォトグラファー、地域コーディネーターなど様々なバックグラウンドを持つメンバーが集まったAグループ。日々の活動は異なっているものの、「出会い」や「別れ」に紐付いた感情・体験で共感する部分が多くありました。
あるメンバーの「葬式に行くことが多い」という話をきっかけに、「記憶や思い出を大切にしたい」という共通の想い(インサイト)を発見。
記憶や思い出をつくるため、目的地に行くまでの「感情の共有」も大切にしたいという考えに発展していきます。最終的には、人生という「歴史」と普遍的な「感情」にフォーカスした壮大なコンセプトを打ち出しました。
アイデアのコンセプト
私たちは、「双方の歴史」の移動によって、「感情の存在感」が世の中にあふれ、「魂Revolution」が起こる「世界線が交わるよう」な世界を創ります。
コンセプトについて、FUTAさんは次のように説明しています。
FUTAさん:抽象度の高いコンセプトですが、「双方の歴史」っていうのは、今までの思い出であり歴史の積み重ねです。お互いの経験の積み重ねを交換できたら面白いんじゃないかということです。
また、「感情の存在感」っていうのは、例えば分身ロボット『OriHime』を操作している人とのコミュニケーションのように、場所を越えて相手に感情がしっかり伝わるということです。
プレゼンテーション
れいんぼーさん:私たちが提案するのは、『バイブスバス』というアイデアです。フェスに行くまでのバスの中で、みんなで集まってクラブのような体験ができます。例えば、一人でフェスに行くことを考えると、チケットを買うときはすごく楽チンかもしれないけど、その後の移動では寂しいしヒマなので移動が楽しめません。
『バイブスバス』では、一人で参加するときも、みんなと感情や歴史を交換しながら思いっきり楽しめます。
Yuutaさん:私たちは、目的地に着くまでの過程も楽しみたいと思いました。そんな願いを込めて、「出会い」や「別れ」をデザインする今回のアイデアに至りました。
FUTAさん:仕組みとしては、フェスの主催者が「バイブスバス」の運営会社にお金を払うことで、フェスの参加者へサービスが提供されます。利用者はフェスの主催者に利用料を払うことによって、そのお金が運営側に入って来るといった流れです。
れいんぼーさん:『バイブスバス』はカスタマイズが自由自在なので、フェスだけではなく、卒業式やキャンプ、福祉の分野まであらゆる移動に活用できます。
ゲストスピーカーの感想
吉藤さん:イベントに行くまでの感情により満足度が大きく変わることがあり、とても共感できる。
辻さん:フェスの “推しごと”として、ラッピングされているクルマ・バスに乗りたい人が多そう!仲良く楽しい多様なチームでステキでした。
中島さん:移動が移動先での体験の一部となって、さらに価値を上げるのが良い!
Group.B
移動の「面倒くさい」をなくしたい
メンバー構成
-
高瀬 寧音
Digital Creator -
ゆずちゃん
ノマド女子大生 -
りの
Designer
コンセプトワーク
色々な場所に出かけることに喜びを感じるメンバーと、行動力にあふれるデザイナー・クリエイターで構成されたBグループ。各メンバーにとって生きがいとなっている「リアルの移動の良さ」にこだわりながら、アイデアを掘り下げていきました。
チーム内で共感を集めたのは、新しい場所に行こうとするときに「移動が面倒くさい」と感じること。「日常」の延長で気がついたら目的地に到着しているような移動体験を目指し、コンセプトを設計しました。
アイデアのコンセプト
私たちは、「プライベート空間」の移動によって、「帰る場所」が世の中にあふれ、「Happyな想定外」が起こって「気づいたら移動している」という世界を創ります。
ゆずちゃんさん:私たちが幸せを感じる瞬間として、旅先や目的地で体験する「想定外のうれしい出来事」があります。でも、その根底には自分の日常やルーティンがあるのではないかと。カバンに日常を詰め込むような移動体験がベストだと思いました。
プレゼンテーション
ゆずちゃんさん:私たちのアイデア「部屋の放し飼い」は、家の中の寝室や作業スペースなどのプライベート空間ごと動いていくという移動体験です。今世の中に増えている旅行系のサブスクサービスの利用率が低い理由として、「旅したい人」にしか刺さっていないという現状があると思います。
旅行に行くという感覚ではなく、「自分の部屋」自体が移動してくれる。ちょっと非日常を味わいたいときにも、「気づいたら移動している」というような体験を生み出すことができます。
高瀬 寧音さん:仕組みを説明します。ユーザーが家にいるときに、大まかな行き先の指定と、半径何km以内という情報を指定しておくと、自分の部屋がクルマとしてその場所に移動するシステムです。
行きはユーザーがクルマと一緒に移動する形になっているんですけど、帰りは自分が家の方に移動するというシステムです。移動先から家を“捕まえに行く”過程で「Happyな想定外」が起こるのではないのかと考えています。
りのさん:例えば、何となく海辺で作業したいと思ったら、「海の音が聞こえる場所」と設定します。あんまり遠くに行きたくければ、100km以内などの条件も。移動先に自分のプライベート空間と「日常」があり、その場所に行くことで「非日常」も体験できるのです。
ゲストスピーカーの感想
辻さん:ベッドがあるのも、ムダがなくて起きてすぐ作業できそうですね。仕事の幅もアイデアも広がりそう。
中島さん:行きの移動の楽しみもプラスされてますよね。生活空間と移動の究極的な融合。“場所”の概念が変わる。
Group.D
「五感」でつながる移動体験を
メンバー構成
-
Risa
Designer -
抹茶あいり
抹茶クリエイター -
TARO
旅するマルチクリエイター
コンセプトワーク
感受性の強いクリエイターやデザイナーが集まったDグループ。各メンバーの原動力になっているのは「幸せ」や「感動」であり、それを生み出す「五感」にフォーカスしてワークを進めていきました。
移動体験においても、様々な場所に足を運ぶことで得られる「経験」について議論を深め、その共有が他者との新たなつながりを生み出すというコンセプトにたどり着きました。
アイデアのコンセプト
私たちは「五感(=新しい刺激)」の移動によって、「心の共有」が世の中にあふれ、人と人との深いつながり」が起こる「Happyで孤独のない」世界を創ります。
TAROさん:いろんな場所に足を運ぶことで新しい出会いや発見がありますが、物理的に動くことが難しいケースも考えられます。でも、私たちはリアルな体験にこだわりたい。それを叶える方法としてヒントになったのが、「分身ロボット」です。物理的に動けなくても、「五感」でいろんな場所に行けたらいいなと思いました。
プレゼンテーション
Risaさん:私たちは新たな移動体験のアイデアとして、香りを持ち運び、どこでも誰とでも記憶を共有できるポケットサイズのポータブルデバイスを考えています。出会いや別れ、大切な人との思い出やシーンを香りに閉じ込め、いつでもデバイスで再現できる。香りを含む「思い出」を共有することで、人と人の心のつながりを深められる。そんな移動体験をつくり出したいと考えてます。
抹茶あいりさん:仕組みとしては、大切な人や思い出を共有したい人にいつでもユーザーが香りを贈れるようなサービスを考えています。例えば、おばあちゃんに思い出を共有したいときなど、世代を超えて使えたらいいなと思っています。家族と一緒に香りを楽しむのはもちろん、リップスティックくらいのサイズなので外出先でもデバイスを差してすぐに使えます。
TAROさん:思い出や体験を共有する手段として、動画・写真を使うことはよくありますが、嗅覚を活用すればリアルにその場所のことを伝えられます。「五感」を通して伝えることがその人の心を動かすのではないかと。映像も思い浮かべたりしながら、香りで“記憶の旅”に出かけられるので、「フレグランストラベル」という名前をつけました。
ゲストスピーカーの感想
吉藤さん:その場その場に応じた香りがあって、記憶と密接に関わっているのは、思い起こせばその通りで面白い。
中島さん:香りは思い出と強く結びつきますよね。一瞬で記憶がよみがえりそうで、新しい移動体験への期待も高まりそう。
Group.E
「文化の移動」で固定概念を壊したい
メンバー構成
-
優斗
あの夏を取り戻せプロジェクト代表兼発起人 -
発明家Ricky
発明家 -
AOI
Eventer
コンセプトワーク
イベントやプロジェクトの運営に関わっているメンバーと発明家が集まったグループE。課題感として共通していたのは、「こうしなければいけない」という周囲の固定概念をいかに取り除くのかということです。
どのように固定概念を壊すのか話し合うなかでブレイクスルーになったのが「漂流する世界遺産」というアイデア。世界遺産が移動するという通常考えられない事態に遭遇することで、固定概念が崩壊するという斬新なコンセプトに至りました。
アイデアのコンセプト
私たちは「文化の移動」によって、「未知との遭遇」が世の中にあふれ、「固定概念の崩壊」が起こり、自分の新しい可能性に出会えるような世界を創ります。
AOIさん:固定概念の崩壊は意図的に起こせることではないと思っています。そこで、本サービスのなかで全く別の歴史や文化にたまたま遭遇することを考えました。「こうあるべき」という自分のなかの「普通」が崩れて、新たな可能性が開かれることを目指します。
プレゼンテーション
発明家Rickyさん:私たちが考えた移動体験のアイデアは、「文化のメッセージボトル」です。メッセージボトルと聞くと、小瓶に紙が入っているのを思い浮かべると思うんですけど、それを人工島の規模で行うというアイデアです。
つまり、世界遺産など様々な文化が集まった人工島をつくり、それを海に流す。推進力を持たず海流の上を漂うので、どこにたどり着くのかわからない偶発性を楽しめます。実施時期は2050年くらいを想定していますが、本アイデアの目的として世界遺産の保全があります。地球全体で海面上昇が懸念されている中で、文化資本や世界遺産を守ることが必要なのはいうまでもありません。それらを一つに集約し世界レベルで管理することで、次の世代に向けて「文化財」を守っていけると考えています。
AOIさん:ユーザーが体験するストーリーとしては、次のような内容を考えています。10代の男の子が海辺を歩いていると、島全体が体験型のワールドミュージアムの人工島が現れる。「あれは何だ!?」とワクワクしながら好奇心で飛び乗るんですけど、その結果自分が今まで知らなかった文化や価値観に触れ、新たな可能性が広がっていきます。
ゲストスピーカーの感想
吉藤さん:「移動×文化財=未来との遭遇」という思いもよらないかけ算と組み合わせが素晴らしい。
辻さん:キャンバスに絵を描くように、自分たちの文化をその島や街に構築していくと、これまで見たことのないリアルな“イッツ・ア・スモールワールド”になりそう。ステキな発想力!
ゲストスピーカー総評【吉藤 オリィ×辻 愛沙子×中島 敏行】
各グループの発表後には、吉藤さん、辻さん、中島さんにイベント全体の感想を伺いました。
(3名によるインスピレーショントークは、Vol.2の記事で紹介しています)
吉藤さん:とても面白いアイデアがたくさん出て、自由な発想に刺激を受けました。今日のディスカッションを通して、皆さんの中で「これをやりたい!」と思うアイデアが生まれたのではないでしょうか。
「やりたい!」という気持ちは、とても大切だと思います。私もよく熱中することがありまして、アイデアを思いついたらすぐに東急ハンズで材料を買ってきて、作り始めるのが私のスタイルです。夜通しで作業して、朝になって「昨晩は何をしていたのだろう」と思うほど夢中になることも。その熱意は冷凍保存できないので、今日のワークショップを通じて感じた「これをやろう!」という気持ちを、できるだけ早く行動に移すことが大切だと思います。
自分の手で形にすることで、想像力がさらに刺激されるはずです。上手くいかなくて諦めそうになることもあるかもしれませんが、チャレンジすること自体が貴重な経験になります。私もこうした想像と挑戦の積み重ねで、このカフェを始めました。皆さんもぜひ大胆な妄想を形にしていってください。
辻さん:アイデアやクリエイティブの話をするとき、「発想」と「実装」の両方が大切だとよく言われます。例えば、スタジオジブリの映画を考えると、宮崎駿さんが監督としてアイデアを出し、プロデューサーの鈴木敏夫さんがそれを実現する体制になっています。アイデアだけでは形にするのは難しく、頭の中で思ったワクワク感を言葉にして伝える過程で、必ずロスが生じてしまいがちです。
そのため、アイデアを実現するための裏方の力も重要だと思っています。私もクリエイティブディレクターとして、皆さんの自由な発想を形にするサポートができたらと考えています。
辻さん:次のステップとして、そのアイデアをどう実現していくのかを考えるといいかもしれません。クリエイティブな人がプロデューサー的な人を探すのと同じように、アイデアを形にできるパートナーを見つけるのも良いと思います。
知り合いに「一緒にこのアイデアを実現してくれない?」と声を掛けてみたり、NISSANさんのような企業と一緒にプロジェクトを進めたりするのも有効な方法です。
大切なのは、アイデアを自分の中に閉じこめず、カタチにする努力を続けること。そうすれば、いつか実現の喜びを味わえるはずです。今日の貴重な体験を、次につなげて生かしていきましょう。
中島さん:移動の概念を変えるようなアイデアが多く、本当に面白かったです。人類はアフリカで誕生し、移動する種族だけが世界中に拡散した歴史があると言われています。移動することが人間の本能的な欲求なのかもしれません。移動を価値あるものに変える試みは、人の本能に訴えかける活動だと思います。
皆さんのユニークな視点とアイデアは、移動の可能性を大きく広げてくれたのではないでしょうか。ここでアイデアが終わるのは惜しいと思います。ぜひ何らかのカタチで具現化して移動体験の価値を高めていきたいですね。
プロジェクトメンバーの全体感想
アイデアソン終了後に書いてもらったアンケート結果から、一部を紹介します。
はなさん:今回のアイデアソンは、移動の奥深さについてすごく考えるきっかけになりました。移動というのは単なる交通手段ではなく、その先にある自分の欲望を実現するために存在する。「移動をなくして感情を満たすことは出来ないのかもしれない」という仮説が自分の中で生まれました。物理的かつ精神的な移動をすることにより、その人自身を満たすことができれば、この世界はより幸せで平和になるのかもしれません。
山内萌斗さん:移動体験を変革するためには、車をデザインするだけではなく、道路、法律、倫理問題など、様々な外部要因の検討が必要であることを改めて気付かされました。まずはプロトタイプをつくり頭の中から外に出してみて、イメージを膨らませながら議論を進めていく過程がとても大切であることを学びました。
Toshihiroさん:人は移動を通して「自分の人生を動かしている」、「世の中の人や場所とつながっている」とアイデアソンのなかで感じました。そういう実感を得られる移動体験が、自分たちの人生に豊かさをもたらしてくれるんじゃないかと思います!
Vol.2の記事では、吉藤 オリィさん、辻 愛沙子さん、中島 敏行さんによるインスピレーショントークの内容を紹介しています。ぜひそちらもご覧ください。